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きっと考え過ぎなんでしょう。

 

1933年3月23日。

ドイツで「民族および国家の危難を除去するための法律」、いわゆる全権委任法が可決された日ですね。これに伴い、当時、世界で初めて社会権を保障し、世界で最も民主的と言われたワイマール憲法は事実上無効化されました。

これによってヒトラーは議会の承認を経ずに自由に法律を制定できるようになり、その後の世界大戦につながったわけですが、勘違いされやすいのはヒトラーの台頭自体は決して武力によるものではなかったということ。合法的に、かつ国民の支持を得て台頭した人だということ。最初に彼を支持した人たちは、決してそれは大戦に繋がるとは思っていなかったということ。

 

 

先の衆議院選挙で大勝をおさめた自民党。その自民党が掲げる憲法改正草案には、全権委任法と同じ、とまでは言わないけどもそれを匂わせる条項がたくさんある。99条には緊急事態における内閣の立法権が認められているけど、内閣を構成する国務大臣は内閣総理大臣に任命・罷免権がある。これは、内閣総理大臣ひとりに立法権が委ねられていることに等しいんじゃないだろうか。そして、ほかにも自由権や社会権の在り方を変えうる文言が各所に散りばめられている。

 

自由権は「公の秩序」という名目によって制限・抑圧される。自由を守るために存在したはずの統治機構は、いつの間にか統治機構に奉仕するための自由へとその在り方を変え、僕たちの人権すらもその形を変えていく。

ついつい、そんなことを考えてしまう。

 

 

いや、考え過ぎかな。

 

【ひとりごと】

僕たちは戦争を知らない。
同時に、戦前も知らない。
だから、今が戦前なのか否か、僕たちには分からない。