人口増加と国際協力
人口密度が世界一高い国の一つであるバングラデシュ。
3ヶ月住んでみて、それを実感する場面は多々ある。兎にも角にも、至る所が人で溢れている。
そういった生活の中で頭に浮かぶキーワードは、人口増加。
今日ふと思い出してパソコンの中を探してみたら、ありました。
去年のちょうど今頃、こんなメモを書いたまま、どこにも公開せずに埋もれていました。
今になって読んでみると、自分自身にとっても興味深かったので、今更ながら公開してみます。
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人口増加。
食物連鎖の頂点にいる人間にとって、天敵と言えるような動物はいない。
現代において、人間の最大の天敵は人間なのかもしれない。
人間の生み出す貧困や紛争が、人間を生命の危機へと追いやる。
そうした危機的状況では乳幼児死亡率が異常に高くなるので、より多くの子孫を残そうとして多産の傾向になる。
そうして、さらに人口が増加する。
人類70億人時代を迎えた今になっても人口の増加に歯止めがかかる様子は全くなく、むしろさらに増え続けていくと考えられる。
資源の枯渇、ゴミ処理問題。
先進国での私たちの暮らし。大量の資源とエネルギーを消耗しながら、大量のゴミを排出している。
WWFなどが指摘しているように、現代における私たちの生活スタイル(水準)は、既に地球のキャパシティを大きく超えているのだろう。
数十億年かけてつくられた石油燃料や木材資源など、いわば地球が長い間蓄えてきた”貯金”を利用することで、
一見今の生活が維持できているように思えているが、所詮は貯金の切り崩しでしかない。
いずれ、今のスタイルの限界が来るのは目に見えている。
僕らが思い描く国際協力とは何だろう。
その最終段階が何かを考えたとき、途上国の生活水準が先進国のそれと同等になることをついイメージしてしまいがちである。
しかし、上に挙げた二つの理由(人口増加問題と地球のキャパを超えた先進国の生活スタイル)からして、それは不可能なことなのかもしれない。
ではどうするか。
人口増加を止めるのは非常に難しい。
途上国の貧困や紛争を解決できれば増加の速度を緩めることはできるかもしれないが、止めることはやはり難しいと言わざるを得ない。
仮に止めることができたとしても、”既に多すぎる”のが現状である以上、そこからさらに減らしにかからないといけない。
一度増えた人口を減らすというのには、どれだけの困難を伴うだろうか。
ともすれば、先進国の生活スタイルを変えるのが最も現実的、かつ効果的な方法なのかもしれない。
近年中国が、あるいはサブサハラの中でも比較的進んでいるアフリカ諸国が今後主張するであろうに、
そして高度経済成長期の日本がそうであったように、途上国の国々は先進国に追いつけ追い越せと意気込む。
先進国の人たちと同じような生活を営むことに途上国が憧れるのは当然だろうし、そうした豊かな暮らしを目指した”開発”や”援助”も行われている。
しかし何度も言うように、現在の先進国の生活スタイルは、先進国に住む今の人数の人たちだけでも十分に地球のキャパを超えている。であるのに、”先進国”がさらに増え、同様の生活を営む人数がさらに増えるとどうなるのか。
そういったことを考えていくと、最終段階として私たちが行わなければならないのは「途上国の生活水準を向上させること」ではなく、「先進国の生活水準を下げること」だという結論に達する。
先進国「環境汚染もひどいし食料も資源も足りないので、途上国は発展の速度を緩めて下さい。いや、これ以上発展しないで下さい。」
途上国「過去に同じ過ちを犯してきたお前達になんでそんなこと言われなきゃならいんだ!俺たちにもお前達と同じ生活をさせろ!
先進国「…分かりました。私たちの生活水準をここまで下げます。なので、どうかあなた方の発展もここまでにして下さい。」
そんな議論が国際社会で繰り広げられる時代がもうすぐ来るのかもしれない。