アーカイブ

Archive for 09/07/2014

キャリアパスの選択〜国連・政府・民間NGO〜

 

国際協力に関わるキャリアパスを描く上で考えること、第2回。

 

前の記事で国際協力を行う3つの組織を紹介しましたが、今回は3つのそれぞれの特徴について。

 

 

国連で働く場合。基本的に国連の仕事は有期(期間限定)であり、数ヶ月~2年くらい。その期間が終わった後は、他の空いているポストに再度アプライして採用される必要がある。

 

政府で働く場合、一番身近なのはJICA。基本的には国家公務員とほぼ同等の待遇。国連にせよ政府にせよ、基本給に加えて色んな手当がつく場合がほとんどなので、給与的にはかなり恵まれた額をもらえる。ただしJICAが生涯雇用の形態を取っているのに対して、国連の場合は先述のように有期の仕事になるので、常に就職活動がついてまわる。だからこそ、本当に人脈やコネが重要となる。

 

それらと大きく異なるのが民間NGO。前の記事でも述べたように、国連や政府の場合は主要国あるいはその国の利害関係などのしがらみがあり、組織としての意思決定に直接関わるのが難しい、そしてアクションが非常に遅い。(また、一部を除いて国連が作る多くのガイドラインには法的拘束力がない、という事実もある。)NGOの魅力は自分の信じていることをやれる場合が多い、そしてスピード感も保てる。
一方で、給与面では非常に厳しい。日本のほぼ全てのNGO職員は平均水準以下の給与、あるいはほとんど無給という場合も珍しくない。ただし、欧米のNGOの場合はそうでなかったりもする。特にキリスト教圏では寄付文化が浸透しており、NGOにも寄付が集まりやすい。何より、政府を含めた社会からの認識のされ方が違う。政府からの委託事業があったりそれに付随して予算が流れてきたりもする。欧米のNGO職員は国連・政府職員並みの待遇を受けている場合もあるし、だからNGOと政府職員、大学教員、国連機関などのポストをグルグル回るようなキャリアの人も珍しくない。国際協力をやっていく上でそれぞれのポストにメリット・デメリットがあることを考えれば、こうしたキャリアパスが現実的に選択できるということは個人にとっても社会にとっても大きな利益だと思う。

 

そうしたキャリアパスが選択し難い今の日本の現状は、国際協力の分野で日本が抱える大きな問題だと思う。現状、NGO側に人が寄りづらい、言い換えれば国連・政府側に人が流れてしまいやすい状況を生んでいる。実際、独り身の20代のうちはNGOでも、家庭をもった30代以降ではJICA専門家などに流れてしまう場合は多い。一概にそれが悪いわけではないけれど、人の流れがそうして一方向的に制約されてしまうことで失われるものは大きい。社会全体として、官製ではなく民間主導の寄付文化の土壌育成や、国際協力への理解を広めていくようなロビー活動全般が非常に重要だと思う。あるいは個人に限って言えば、そうしたそれぞれのポストの経済状況を知った上で、ライフプラン全般を含めたキャリアパスの構築が大事になるはず。

 

P1010138

カテゴリー:国際協力, 政治 タグ: , , , ,